1年の半分が無事に過ぎて、見えない世と見える世の間が解ける時に、息災と様々なめぐり
を祈る祀りが夏越の祓え、七夕、お盆の一連の行事。年越しの大祓えと一対になっている。いずれも御霊と触れ合い、魂振りをする行事で、厳粛な儀礼を伴う。
縁結びのいわれのある赤坂氷川神社さんでは七夕の時期「星合いの縁結び詣」が催され、毎年あっという間に埋まってしまう。その花飾りとして、御社殿と社務所を結ぶ橋に花を置かせていただいた。「はなのみち」のカリキュラムの一つとして、花の連句「めぐり花」という方法でみなさんに生けてもらった。
短冊は棚機(たなばた)の棚と関係がある。棚を細かく薄くしたものと思って良いのかもしれない。その棚は水の女が織った神衣を架けたという。棚は手巾(ひれ)や袖に通じ、想いを引き寄せ、あるいは相手に送るために振るものだった。振るというマジカルな行為は、花が震え、蛹が風に揺れ、木々がいつも大気に身を浸して振動している様子などから、見えない世界からの音信を受けるものとしてみていたことの証だろう。お飾りもやってくる幸いをキャッチしたり蓄えたりする、網とか器の形をしたものが多い。銘々の願いを託してつけてもらう。
七夕とは美しい行事だ。本来夏と秋の間の行事である。男女が結ばれることで、秋の様々な実りを予祝するのだろう。