Flower(花の偽事)

惜門会

豪徳寺のISIS本楼にて、先頃闘病の末亡くなったIさんを送る「惜門会」が開かれた。編集学校の門を潜り学んだ先輩だ。

会場を花で飾った。縁のあるみなさんが中心となって声をあげ、長く連れ添ったご主人の思いを汲んで、編集学校らしくみんなの想いが編まれた会は、書物や衣装の形見分けの場でもあり、とても明るく和やかに思い出を語り合う場となった。なんとも素敵な、爽やかな、これが本来の送り方だろう。たくさんの会話の渦にいつも彼女が混ざっていた。片見分けされた衣装や書物も彼女が手を添えて渡していたかもしれない。余韻に彼女の面影が消えない。

花の話をいただいた時から、Iさんが大事にしていたセキセイインコの「みかんちゃん」が、何度も僕の頭の中に現れる。SNSで写真では見かけているものの、実際に会ったことはない。不思議だ。おそらくIさんが亡くなってから鳴かなくなったという小鳥の姿が、脳裏に焼き付いてしまったのだろう。

何の花をどんなふうに、、、組み立ての時も、花を選ぶときも、その黄色が念頭に在った。会は2・26。春先の花木に黄色も多い。花はどんと活けるよりも、彼女が大好きだった本楼を舞うように。書物や歌の声を華やかに彩るように。同時に彼女の声をあちらから届けてくれるように。

明るい人で、オペラも歌い、華やかな衣装もまとった。それらに合わせて、花を選んで、シーンごとに見繕ったけど、ここでもやはりみかんちゃんの黄色をあしらった。

活け込みの前日、ロシアがウクライナに侵攻したという。

ウクライナの国旗は、インコのような黄色と空の色だから、

春空にインコが舞う、そういう花を立て、戦争がなくなるように祈った。

亡くなって、空の向こうへ行ってしまった人にも、ウクライナで辛い日を迎えた人たちにも。

攻め込んだロシアの側にも死者は出るだろう。そうしてそこに他の小さな生命への気遣いは全く無い。

つい戦争のことを書いてしまったけど、こうやって花を立てて、美しい世界を切り出して、想うものがここにあるということを伝えたい。

新暦のひな祭り近く、桃の花と菜の花
結柳は惜別とまた会えることを願って、設営のみなさんに結んでもらった。