2019年1月7日からの新しいバージョンのイメージスケッチ
![49450627_2023791011009447_3153288984981929984_n.jpg](http://onshitsu.com/49450627_2023791011009447_3153288984981929984_n.jpg)
おおきなつばさをもつものが
人々が留守の間、ここで眠っていた。
風に揺れて鳴るオルガンを子守唄にして。
竹の音を聞きながら、かゞやく姫のことを思ったり、むらさきの獣たちが荒らさないように、時々ここに戻ってくるのだ。
あの時から降り続けている想いを枕に、彼は休み、
歌っている。
姿は見えないが、
時々その声は遠くを連れてかすかに聴こえる。
巣は丸く、冬の陽が射し込んで
まだなお暖かい。
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まだおさないつばさをもつもの。
草で編んだ巣。
柔らかい金色と白色の
石で囲われた聖地。
そして秘密の場所。
羽をつくろいながら、
優しい声で歌う。
安心して。
ここなら
時が満ちるまで。
さらさらと
あたたかい。
海が
月が
満ちるまで。
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人がいなくなって、
聖地に時が降り積もり、
記憶は埋もれていく。
揺れる羽は「とき」。
静まるフリントは「記憶」。
波音はずっと聞こえている。
人がいなくなって、
つばさあるものが住んでいた。
誰もこないから、ここにかつて在ったものをつばさでまもっているのだ。
彼(彼女)はもういない。
見えないだけかもしれない。
巣の、窪み、痕跡には、
わずかに水が溜まり、苔がむしている。
冬の日に温まると、
苔は磯の香りがする。
きっとかつて海で揺れていたときのことを思い出しているのだ。