主な植栽は西洋ザイフリボク、ヤマモミジ、ブルーベリーなど。
《庭づくり》
マンション一階の7坪ほどのお庭です。
3年目に入りました。
引き渡し時には、日当りが悪いのに芝を貼ってありました。
芝を取り除き、新しく土を入れました。小さなスペースを立体で奥行きがあるようにするためにも、土に起伏をつけたり、植栽の配置、鉄平石の飛び石の布置も変化をつけています。
リビングと仕事部屋両方からの「見え」に注意を払いました。仕事部屋は写真手前にあるリビングからテラスを渡った離れになっています。写真はないのですが、仕事部屋の窓枠に切り取られて、右側に西洋ザイフリボクがすっと立ち、左上に紅葉の枝がかかっていて、苔の生えた地面と下草がチラチラと見えるはずです。
排水口への水の道と日照時間が短いと言うことを考慮に入れて植栽を選んでいます。
また、もともと植えられていた桜の大木を残したり、マンションの全体に緑と流れが計画されていますので、そうした外構の緑とも響き合うような、でも区切られたお庭はちょっと特別の雰囲気が感じられるように。
お家で文章を書いていることが多いお施主さんですので、なんとなくお庭を見たり、風が吹いて植物が揺れたり、鳥が実を啄みに来たりとか、小さなお庭ですが、逆に豊かさを感じて下さっているようです。
手入れには年に2回ほど伺いますが、その度に暮らす人とお庭の関係が新しくなっている様子を拝見すると、嬉しくなります。草取りはちょっと大変?
画家の熊谷守一さんも、晩年はご自宅のお庭でひたすらスケッチをされていたようです。それくらいちょっとしたお庭でも、深くて広い、そしていつも変わりつづけている営みがあるということだと思います。おそらくいくらスケッチしても、間に合わないくらいの豊穣さであったのでしょう。
庭をつくるということは、その場所の記憶を想起させもするし、同時にそこに暮らす人の記憶にもなっていくということです。今回のように、新しく造成されたマンションでも、当然風土と切り離せません。例えば、マンションの入り口にシンボルツリーとして残された大きな桜の木は色んな記憶を持っているでしょう。通学する子ども達や行き交う人々の記憶に何かをもたらしているはずです。庭をつくる仕事は、日常にさりげなくあって、身体に新たな記憶を記述してく風景をつくることなのです。
排水口の周りは水がたまりやすいので、植栽もそれなりにしています。
石は、泥が流れ込みにくくするためと、水際の雰囲気づくり。
昨年の冬、まだブルーベリーの紅葉が残っていました。 石は濡れるといい感じ。