現調時のお庭。
お母様の実家から移した手水鉢。
水浴びに訪れた鳥たちが落とした種から千両万両が育っている。
息子さんが一人になったお母さんを心配して一緒に住むことに。
ご両親はかつてお庭でせっせと植物を育てていた。
お母様は少し足が弱くなってしまったので、出やすくしてお庭で楽しんで欲しい。
ギャラリストの父を息子さんは継いだ。お庭にも作品が。
一夏か二夏、手の入っていない場所。
ご両親が楽しんでいたお庭。
山椒はよく使う。唐鼠黐は実生で出てきた。アイビーがブロック塀に貼り付き、カロライナジャスミンはフェンスに絡まり、自然と生えた羊歯類も。
葉蘭の花(こんなに埋もれて咲いているので、蟻か蛞蝓か、団子虫が媒介するのではと言われている)
四角い敷地に凹型の家。真ん中がテラスで、もともとは2台目の駐車場だったスペースと
つながったT字型の庭。テラスの使い方、庭としての使い勝手、残したいもの、そうでないものを
聞き取り、
新しいこれからの暮らしのために何を生かして、季節を楽しめる植物を提案する。
前景を作ることで、平面的な構成が立体的になる。
インターロッキングも引き算して、再構成する。
歩きやすさ、使いやすさ、引き算を繰り返す。
後日;
まずはお掃除、剪定
裏庭の門扉を新しく。不要なものはお客様に確認して処分。
さあ、お庭を作っていく。
主役の一つ、「初夢」の彫り物がしてある手水鉢。
わずかだが動かして水辺の雰囲気を作る予定。
玄関を入ると正面に見える位置に。
配置が決まったら、歩きやすくなるように下草も整えて植えていく。
途切れていた奥への道を、インターロッキングを外して作る。
テラスの真ん中にコンテナ。ジューンベリー、マルバの木、ウツギなど。
初夢の手水鉢の足元には伊勢ごろた。カマツカを添えた。冬にはまた鳥が水浴びがてら訪れる。千両、万両は残す。
水を張り直した。水があるとそれだけで多様性は増す。
水鉢のそばには石菖や木賊。葉蘭の周りはギボウシや、ツボサンゴなどを植え、やがて土も覆われてくる。
陽が長く当たる壁側はレモンなど、大事にされていたオリーブもここに移す。
大きめの睡蓮鉢も。樫の木の向こうに「初夢」の手水鉢があるのだが、縁が切れているので、
こちらはこちらの景が作れる。
前の庭のつくりを基本的には生かして、
再生させる。
新しい時間がまた動いていく場所になることを。。。