冬至。古代の遺跡、例えばアイルランドのニューグレンジはとても美しい祭祀遺跡だと思うが、きっちり冬至の朝日が、母胎であるその墳丘の奥、つまり大地の女神の子宮までまっすぐ射し込むように計算されている。受胎して新たな魂を力に太陽が、生命が新しく生まれなおす。その壮大な物語を擬くための舞台装置がこの遺跡だ。陰陽石の白と黒を思わせる美しくデザインされた白黒の石。選ばれて遠くから運ばれているという。渦巻き紋を穿たれた大きな石はその母胎を囲む。渦巻紋は命の滾りであり、生まれいずる命の形象。銀河そのもの。つまり生命もまた星。
冬至は日が一年で最も短くなる日。そこに向けて生物たちは鎮まっていく。太陽エネルギーが弱まるにつれて、木々は差し伸べていた枝を休ませ、熊たちは冬眠へ向かい、植物は冬芽を作ったり、種となって眠りにつく。
隠は極まって陽に転ずる。
その時をむかえるのを予祝して、暗さを破り、モノクロームをカラフルに華やかにし、太陽や炎のシンボルを飾り、永遠の緑を立て、闇を祓うように浮かれさわぐ。囃し立てふれまわる。一方でクリスマスやお正月は、新しくやってくる年の神様をお迎えし、それを寿ぐために、自然界が静かな眠りについて、また新たに再生できるように、厳粛に過ごす日々でもある。
毎年、赤坂氷川神社「はなのみち」では、冬至由来である二つの行事を並べて、その違いと似ているところを再確認して、クリスマスとお正月を合わせた「冬至飾り」を作る。冬至らしい柚子が入り、クリスマスに欠かせない樅や西洋柊が入り、古代ケルトを彷彿とさせる榧や樫、お正月っぽいクマザサが入り、冬芽を持ったヤシャブシがあり、結び目には麦穂を挿した。そんなまぜこぜも、原型が冬至にあるので違和感はない。むしろユーラシア(ユーロ=アジア)をつなぐ平和と再生を願う飾りとして冬に光をもたらしてくれるはず。