第11回| 花を活けることは、自分自身、ひいては世界のより良い在り方を願う養生術でもある。
一部引用;
クラスで二十四節気七十二候について知ることから始めるのは、季節にそれぞれの身体をチューニングするためです。例えば3月10日頃の七十二候に「桃始笑(モモハジメテサク)」とありますが、昔は「笑う」と書いて、「咲く」と読んでいました。大きく笑うというよりは、ほころぶような恥じらいのある「笑み」を想像してみてください。桃が咲き始めるところをイメージしやすいのではないでしょうか。七十二候には人間のことが書かれていないところが素晴らしいと思っています。この世界はもちろん人間だけのものではなく、生き物は皆「環世界」という多様な独自の領域を持って生きています。その輪っか同士がときには触れ合ったり、混じり合ったりしながら時間と空間を共有しています。人間だけでなく、鳥の時間、虫の時間、微生物の時間もあるということ。