晴明 虹始見 春雨が降る
2023年4月15日土曜日。春の雨。2季目の伝芭 sansa座が、はじまる。
初めての方が半分(いずれも男性 父子が1組)、継続の方が半分。
今年は花が早く、花屋さんに並ぶ八重桜ですらもう名残花のような様子。桜や朴や蝋梅の枝を透かして、八重桜と渋めのトーンの黒花蝋梅や紫蘭をくみ合わせを選んだ。花が早いと言っても木々が葉を広げるのはこれから。
伝芭ではできるだけじっくりその日の花材に向き合う。実はそこにこそ、「今」めぐり逢ったことの全てがあると思うからだ。長い長い悠久の歴史の果てでめぐり逢う。積層され、織り合わされた文をもって、それぞれの今がある。お互いが生きてこなければ出会えない。花と人の綾にほんの少しだが掘り下げて触れてみる。名付け、文字をはじめ、文芸や学問で、他者(多くは死者)がその花に何をどんなことを重ね合わせてきたのか、豊かで複雑な情緒が垣間見られる。そうして「めぐり花」をしてもらう。
2チームに分かれて「めぐり花」。はじめての男子チームと、女性の常連チーム。
子供はひらめきをもたらす。大人も頭がほぐれていく。
花が立ってくるとそこここに渦が生まれる。いつの間にか、花も人も混じって「共話」している。予定調和ではなく偶然の個性が調和していく。
聖なる植物を手に、こうした日常とはちょっとズレた場のある意味。ちょっとした縛りのある「踊り場」に飛び込むとそこは不安を払う場であり、別様の時空を生きることでもあり、自由を感じる養生の場なのだ。生を養うためにこそ「型」というものが受け継がれてきている。目に見えるものから見えないものを見て、触れることでもある。
毎回「めぐり花」の時は、sansaさんセレクトの曲が流れる。少し物憂げでまだ幼い植物たちの様子がぴったりした。Otto A Totland “The Lost”
https://music.youtube.com/watch?v=YQwSK_w3Sc0