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2020ご挨拶

初春のお慶びを申し上げます。

令和になって初めての正月。
今年も「はなのみち」でお世話になっている氏神様赤坂氷川神社での甘酒振る舞いご奉仕で明けました。甘酒は1000人以上に渡り、ひときわ寒かった今年、参拝の皆さんのお腹を温めました。
子年といえば、鼠を眷属とする大国主命は赤坂氷川神社のご祭神の一柱。
古事記では鼠が大国主のピンチを救います。根の国に住むから「根住み」とも言われるようです。根の国、黄泉の国は昔話の「おむすびころりん」などでも語り継がれてきた通り、命の再生を齎す豊かな世界です。
都心では地下鉄で見かける逞しい鼠や、ミッキーくらいにしか出会わないけれど、地下他界や我々の感知し得ない広大無辺な世界のことを想像し、命の連鎖の先っちょに今の命があり、それは未来へのほんのかすかな灯火でもあることを改めて考えさせてくれます。

大きな袋を背負った大国主。仏教に取り入れられたヒンドゥー教のシヴァ神の異名マハーカーラと習合した大黒天でもあります。
どんな経緯で習合し、今の姿に描かれるようになったのか色々不思議もありますが、恰幅の良い翁のような笑顔の福神となっていることは、分離や対立よりずっと良いことでしょう。

子年の2020年、その神があの打出の小槌を振るって光とともに富をもたらしてくれるかどうか。マハーカーラの名の通りもはや我々に愛想を尽かし、暗黒の世にしてしまうのか。「おむすびころりん」では、強欲な隣のおじいさんおばあさんはしっぺ返しを食らいます。
その先に良い世の中があるのならそれも仕方ないかもしれません。

鼠は天変地異もいち早く察知するといいますから、僕たちは彼らの住処を蹂躙してばかりいないで、隣人である彼らの声にきちんと耳を傾けられれば良いのでしょう。

縄文アニミズム以来の「草木国土悉皆成仏」。
今年も庭を作り、花を活け、みなさんと座を展開していく予定です。花に触れること、花で追想すること、花と遊ぶことでその場は祭りの場となり、歓びとなり、魂を活性化させてくれます。でもそれは儚くて、その想いや哀しみはきれいや勁さの根を育てます。